擬似家族万歳!!その1







その日は雲ひとつない、真っ青な空が広がる晴天だった。
まさしく絶好の行楽日和といえるその日にスネーク、オタコン、そしてサニーは全世界の子供や大人に夢をあたえてくれるねずみ王国にやってきていた。

「スネーク、ハル兄さん!早く、早く!」
「おーい、サニー。そんなに走ったら危ないぞ。ほら、スネークもなんとか言ってやって」
「サニー、そんなに急いでも遊園地はどこにも行かないぞ。逝ってしまうとしたら俺の体力か……」

この日のために近くのデパートで購入した白いワンピースと麦わら帽子を身に着けたサニーは意気揚々と入場門に向かって走っていく。その姿を見て、今日一日の行軍を想像したのかスネークは遠い目をしてぼやいた。

「何言ってるんだよ、スネーク。僕らはまだ入場門さえくぐってさえいないんだよ?」
「しかしな、この日差しを見ろ。昼を過ぎるぐらいにはこの身体はきっと溶けてしまうぞ」
「弱音をはかない。君は中東の灼熱の太陽の下でも、アラスカの極寒の中でも全然平気そうだったじゃないか」
「あれとこれとは話が違う」

ここ最近ふたこと目には自信をなくした発言を続けるスネークに少々うんざりしていたオタコンは今日こそ、少なくとも孫の面倒をみる一般家庭のおじいちゃん程度の体力はあるのだということを自覚してもらおうとスネークの肩を叩いた。

「違わないよ、スネーク。今日はサニーの遊園地デビューの日だ。もし、今日という日をサニーが楽しめなかったらどうなると思う?遊園地にいい思い出がないまま一生過ごさなければならないんだぞ。そんな不幸なことがあるかい?スネーク、今日の君の最重要任務はサニーを楽しませることだ」
「なるほど」

スネークは心底納得したというように深くうなずいて、よしと気合を入れ直した。
任務という名がつけば途端にやる気がでるのは長年植えつけられた兵士としての性なのか、歳をとって素直になったからなのか。なんというか最近これまでにもましてスネークの扱いに慣れてきた自分に喜んでいいのやら情けないやらで複雑な気持ちになりながらも、オタコンはスネークを促した。

「とりあえず、サニーが迷子にならないうちにおいかけようか」
「ああ、そうしよう。サニーは誰に似たかしらないが、ひとつのことが気になったらほかの事が目に入らなくなるからな」

スネークはオタコンをみてにやりと笑う。それは間違いなく君に似たんだろうという言葉が口の先まででかかったが、彼のやる気をここでそぐのはまずいと思ってオタコンは、ははっと乾いた笑いを漏らした。
 オタコンをやりこめたことに少し気をよくしたのか、スネークが足取り軽くサニーの後を追っていく。オタコンは一度深くため息をついたあと、スネークに従って歩き出したのだった。









fin.








相方からいただきました、MGS4のED後の擬似家族ネタ。きゅんときた。すごいきゅんときた。シリーズ化していけばいいよ!!!(私信)
2010/09/13